刈谷高校では2年次に類型選択をしますが、従来の「文系」「理系」に加えて、第3の類型「探究系」を設置しています。
今、なぜ「探究系」なのか
今日、生成AIの急速な進化と普及、そして新型コロナウイルス感染症を契機とした社会構造の変化により、私たちの生活の在り方は大きく変化しました。
私たちを取り巻く多くの社会的課題は、科学的な知見が不可欠である一方、科学だけでは解決することはできない「トランスサイエンス」と呼ばれる領域に属します。明確な正解が存在せず、多様な価値観を尊重しながら前進していくことが求められる今、生徒一人ひとりが変化の激しい時代を生き抜き、自らの人生を主体的に切り拓くとともに、持続可能で公正な社会を創造する学際的サイエンスリーダーとして活躍してほしいという願いのもと、2年次からの従来の類型(文系・理系)に加えて、「探究系」が設置されました。
探究系で身に付けさせたい力
「科学する力」×「エージェンシー」=「イノベーション力」
大学入学以降も生涯にわたって学び続け、自己実現はもちろん、よりよい社会の実現のために必要となる「科学する力」(自律的に学ぶ力、多様な他者と協働する力、困難を乗り越える力、科学的リテラシー、科学的思考力、問題発見・解決能力、発信力、批判的思考力、創造性など)とエージェンシー(*1)の向上を目指します。
*1 エージェンシー:よりよい社会の実現に向けて、自分で目標を設定し、振り返り、社会に対する責任をもって行動する力
探究系の特色
- 探究的な学びの徹底
「課題研究」をはじめ、通常の教科・科目において探究的な学びを徹底します。また、授業の中で知識の活用や探究を繰り返し行うことで、確かな学力と学びを実社会における課題解決に結びつける力を養成します。

2. 学際的サイエンスリーダーの育成
トランスサイエンスに対し、自然科学と社会科学の両側面から社会問題の解決を目指す「iD 課題研究」をはじめ、よりよい世界の実現に向け、先端技術をどのように活用すればよいかを議論する「SSD(*2)」(理科)や「Global Issues」(英語科)など、従来の文系・理系の枠にとらわれない学習活動を通して、学際的サイエンスリーダーの育成を目指します。
*2 SSD: Science for Sustainable Development 「持続可能な開発」を実現するための科学
3. 探究系独自のSSH特別活動
- 探究系特別講座
文系・理系の生徒が定期考査を受ける時間に、「探究系特別講座」として教科横断型の授業や、博物館・研究所の訪問などの特別講座を実施しています。
実際の実践例をブログに掲載していますので、ぜひご覧ください!
- つくばサイエンスツアー(2年7月)
JAXAや理化学研究所などの研究所を訪問し、2泊3日で先端科学研究について学びます。


4. 個別最適化した学習環境の提供
探究系では、定期考査の時間を「探究系特別講座」に充てるため、一部を除いて定期考査を受験しません。その代わりに、授業内での単元テストなどで基礎学力の定着を図ります。また、補習の受講や模擬試験の受験も強制ではなく、自身の進路などを踏まえて受講・受験を決めていきます。 このように、生徒一人ひとりに応じた学習法の習得を学校が支援することに加え、課題や補習の在り方も抜本的に見直すことで、自律的学習者としての成長を促します。
探究系の授業
生徒一人ひとりが主役となり、お互いを尊重しあいながら活発に議論を行います、これまでに学んだ知識を組み合わせて、新しい知を創出するような授業を目指しています。

探究系独自の授業科目
探究系では、文系や理系と共通の学校設定科目に加え、以下のような独自の学校設定科目を開講し、イノベーション力の向上を図っています。
iD 課題研究Ⅰ(2年次・総合的な探究の時間)
トランスサイエンスなどの現代的諸問題の解決を目指し、自然科学的なアプローチ(α:週2時間)と社会科学的なアプローチ(β:週1時間)の両側面から課題研究に取り組みます。
iD 課題研究Ⅱ(3年次・総合的な探究の時間)
iD 課題研究ⅠαとⅠβの研究内容を統合し、ポスター発表や英語でのプレゼンテーションに挑戦します。
SSD(3年次・理科)
SDGsに関する諸問題などの地球規模の問題に対し、これまでに学習した各教科の知識や英語運用能力を用いて議論し、納得解を見出す活動を通して、エージェンシーや創造的思考力の向上を目指します。
プロダクトデザイン(3年次・情報科)
アプリ開発やPR用のWebページ・コンテンツ作成など、情報技術を活用して身の回りの社会問題を解決する取組を通して、よりよい社会を実現するための発信力や創造力の向上を目指します。