コアSSH研究施設訪問研修 (航空・製薬コース 刈谷高校主催)  

1  期日
平成24年9月11日(火)
 
2 会場
潟fンソー 善明製作所     (西尾市善明町一本松100)
 
3 参加生徒
刈谷高校 1年1名、2年理系クラス7名
引率教員 4名    (計12名)  
 
4 実施内容
 潟fンソーは2008年4月から慶応義塾大学先端生命科学研究所と共同でデンソーが特許を持つ新種の藻(シュードコリシスチス)で、微細藻類の光合成を利用したCO2吸収・バイオ燃料化を実現し、 エネルギー問題と地球温暖化対策への貢献を目指した新しい研究に取り組んでいる。  
 その研究内容についての講義を受けた後、培養施設を見学した。 また、環境問題に取り組んでいる排水処理施設も見学した。その後、質疑応答を行った。
 
5 実施内容
 体長5μmの藻にストレスをかけると、生き残ろうという作用がはたらき、 体内に油分ができる。体の3割が油分であり、生産効率が非常に良い。
 それに対して、さとうきび、トウモロコシ、木からバイオエタノールをつくれるが、 高コストである。また、菜種、パームヤシからバイオディーゼルをつくれるが、 伐採により環境破壊が起き問題点が多い。
 また、温泉から発見した微細藻類(シュードコリシスチス)は他種の藻よりも強く、 生き残ることができるので、これを培養してCO2吸収するシステムを構築し、 地球温暖化対策への貢献を目指し、研究に取り組んでいる。 また、ここでの藻の培養は、すべて同工場から出る水やCO2を再利用して行っている。
講義を聴く参加生徒 微細藻類を手にする生徒 培養施設の見学



6 実施の評価
 生徒は微細藻類が光合成を行う際に、CO2を減らすだけでなく、体内に油をつくり、 それを軽油(ディーゼル)に利用できるという研究に興味関心をもつことができた。 また、他のバイオマスよりも藻の方が生産効率が良く、軽油を多く得ることも理解できた。 また、潟fンソーでは自動車関連の機械、電気、電子情報の研究だけでなく、 生物や化学の研究も行っており、さまざまな知識が必要であり、 理科を総合的に学習しなければならないことも意識づけられた。
 
7 質疑応答
(1) 飛島工場
Q1.アメリカでは培養するのに1Lあたり800円のコストがかかるということだが、デンソーではコストはどのくらいかかるか。
A1.デンソーでも同じくらいのコストがかかる。そのため、生育速度の低下する冬場はパイプにお湯を通したくさん培養できるようにしている。
Q2.藻が増えすぎた時の問題点はありますか。
A2.増えすぎた場合の問題点は特にない。藻が流出し、周辺の環境破壊が心配であるが、その影響も研究の結果、害がないことがわかっている。
Q3.培養しているときに全滅してしまう心配はないか。
A3.施設の気温が40℃のときに、藻が変化したことがある。また、変化した藻は栽培には不適であった。
Q4.日本中の軽油をこの藻でまかなうには、どのくらいの施設面積が必要か。
A4.何千haも必要である。広大な面積が必要なので、100%まかなうことはできない。
Q5.化石燃料は枯渇するといわれている。今後、藻以外の風力、太陽光等でエネルギー自給率が4%まかなうことができるのか。その見通しはどうか。
A5.アメリカはベンチャー企業で200社が取り組み、競争原理で自給率が高まっている。また、シェールガスを採掘できるようになった。そのため、他国に頼らず、自国でできるようになってきた。ブラジルは他国から燃料を買えないので、さとうきび等により自国でエネルギーをまかなえるようになってきた。それぞれの国でエネルギー源の確保が問題であり、日本は太陽電池や風力の開発で他国に負けているのが現状であり、自給率の達成が容易ではない。
 
8 生徒の感想
・学校の授業では学ぶことができない貴重な体験ができた。 海外の化石燃料に頼るだけでなく、自ら開発して環境に良いエネルギーをつくることの大切さが実感できた。
・藻から油がとれることは驚きである。いろいろな藻の特徴について調べようと思う。
・光合成をして、さらに燃料となる油をつくる藻があることを知り、今後、大変期待できると思う。
・あれだけ小さな藻が効率よく油分を生産し、さらに希少金属も回収できると知り、驚いた。 今後、実用化に向け、研究が進むことを期待したい。