ESD講演「持続可能な未来社会を考える」を実施!

「持続可能な国家を形成するための活力」として、高校生にとって大切なことは、「広範な知識をもつことである。それは学力的なものだけでなく、社会の構造に関わることにおいての知識も含まれる」。その一つとして、6月20日(水)6限 ESDTの時間に、第1学年全員を対象に、「税」に関わるお話をしていただきました。講師は、本校学校評議員、また、SSH評価委員でもある石川泰隆税理士さんにお願いしました。
石川さんからは、「税金」に関わるお話を五つの内容に分けてしていただきました。

一つ目は、税の種類や納税方法についてです。「『税』は租税法律主義という考えに基づいて、課せられる対象と税率が決定される。現在、日本では国や地方公共団体が課す税として約50種があり、税を課す際、アダム・スミスの唱えた『課税の原則』に基づいた方法がとられている。その原則の一つに公平さがある。それは、『垂直的公平さ』つまり収入の多い人に多く支払ってもらおうというものと、『水平的公平さ』つまり誰にでも同じ率の税を支払ってもらうとものという二つの観点に分けることができる。この「公平」という言葉に対する考え方は様々あり、解釈は一つではない」と説明されました。ここでは、生徒に「クラスでバーベキュー大会を開く際のメンバー内での会費の決定の仕方」を例に質問され、「『公平』というのは、誰もが納得できる対処であり、結論は一つではない」ということが分かりました。

二つ目は、税の使途について、「国や地方公共団体は、『公共のサービス』や『社会資本』を提供し、国民の生活を支えている。そして、その費用は税金でまかなわれている」というお話から、「我々の生活の中で、その費用の全額に税金を充てるもの、個人と折半すべきもの、全額個人負担するものは何か」について質問をされ、「概して、個人の利益に属するものは、税金を充てない場合が多い」ことが分かりました。

三つ目は、「この税金の使途から、現在の日本の歳出が税収額を52兆円と大きく上回り、国の借金が増え続けている」とのお話から、この差額をどうすべきかについての5つの選択肢(@足りない分、税金を集める。A足りない分、使うお金を減らす。B国民などから借金する。C外国から援助してもらう。Dお金を印刷して沢山作る)について生徒に問われました。現状としては、国民に借金をするという形になっていますが、どれも正しいということでした。

四つ目は、現在の借金の上に、「今後、少子高齢化がさらに進み、働き手が減少すると、年金や医療、介護などの社会保障に関わる費用の増加が予想される。これからの日本は、どのようにすればよいか?」については、明確な答えはなく、我々国民が、「税金の仕組み」や「使い道」についてもっと知り、「国民の負担のあり方」についてもっと考えていかなければならないと話されました。

最後に、「日本国憲法の国民の三大義務は『教育・勤労・納税』である。この考え方は、『まず、教育を若者が受け、そこで学んだ知識を活かし、技術を利用して働き、いろいろな価値を産みだしてもらいたい』、そして、『その価値に対して国は税金をかける』、さらに、『そこで集まった税金で次の世界の若者に教育をする』という形で循環をさせ、日本国全体として活性化させ、発展をしていく」という願いで憲法の三大義務があると言われました。「日本では、高校生1か月で1人当たり77,000円の税金が使われている。この場にいる1年生全員で1か月2,770万円の税金が使われている。高校生としてできることは、まずしっかり知識や技術を学び、働いて物事の価値を生み出すこと。こうした循環が『持続可能な国家を形成するための活力になる』日本を支える若者に育って欲しい」と言われました。

 そして、「豊かで、安心して暮らせる未来のためには、『公平な税の負担』と『受けるサービス』の関係について、私たち一人一人が考えることが大切である」と結ばれました。